大阪・関西万博来場記録

EXPO2025


第18回 -その2-

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来場18回目 -その2- /Jul.15,Tue.

一般来場者数:102,144人

第18回から続く)

 13時頃、日本館を出て、すぐさま「三菱未来館」へ向かう。 リング下を北上し、電力館を右折、住友館、ノモの国を通り過ぎればすぐそこ。13時08分からの入館に間に合った。

 つい先日、7月6日に並んで入館し、お気に入りパビリオンとなったのだが、2回目となると心の準備ができているので、 落ち着いて観ることができる。写真や動画の撮影が禁止されているので、何も残っていないが、先日にはなかった新たなスタンプを押すことができた。 大満足の観覧を終え、次へ向かう。ちなみに、三菱未来館 のキャラクター NaNa(ナナ)とViVi(ビビ)は、どこかで見たことがあると思ったら、 2020東京五輪のミライトワとソメイティを考案したデザイナーの作品だそうである。

 三菱未来館を出た後は、エンパワーリングゾーンの 「オーストリア館」へ。それほど長く並んだ記憶はないが、 入館が14時半過ぎなので、30分くらいの待ち時間だったか。

 オーストリアといえば、音楽の国。パビリオンの外観も、らせん状になった楽譜のオブジェが大きく目を引く。

 入館するとピアノの自動演奏が迎えてくれるが、来館者が曲作りに参加できるエリアでは、 ボタンを適当に押してもそれなりの曲になってしまうという面白い体験ができる。 「未来を作曲」というこのパビリオンのテーマを体現したものである。一人一人が参加して、曲を作りあげるのだ。

 オーストリア館を出た後は、隣の「ブラジル館」へ。 「我々の存在の真意とは。」と日本語で書かれた外観が目を引くが、その深い問いかけの答えは、 館内展示を見てもよくわからなかった。残念ながらインパクトの薄いパビリオンであった。 ただ、ブラジル館というと、時々電撃的に配られるポンチョが有名。「パランゴロモス」と名付けられたそれは、 同国の衣装「パランゴレ」と、日本の「羽衣」を掛け合わせた造語だという。残念ながら私はもらうことができなかったが、 会場内で身につけている人をよく見かけた。

 このあと、同じエンパワーリングゾーンの「バーレーン館」、 「マルタ館」をめぐる。 バーレーンは、中東の島国ということもあり、船に関する展示が多かった。マルタ館は正面外壁が大きなスクリーンになっていて、 マルタの美しい風景が映し出されている。手前は池のように水が張られており、真ん中に渡された橋のような進入路を歩いて入館する。

 マルタ館内部の展示で印象的だったのは、福沢諭吉がマルタを訪れた際に友好の証として贈ったとされる「甲冑」。 これが長い年月を超えて凱旋帰国したようなもの。多くの人が足を止めて見入っていた。

 この日、マルタ館では、インスタグラムをフォローしてくれた入館者にはプレゼントがあるということだったので、 フォローした画面を見せると、トートバッグを頂くことができた。黒いシックなもので、これはずっと使っている。 とてもレアだったようで、その後に同じものを持っている人をほとんど見たことがない。 大量配布していた(でも私はもらうことができなかった)TECH WORLDのトートバッグとは事情が違う。

 マルタ館を出たのが17時過ぎ。その後、ウォータプラザマーケットプレイス東にあるファミリーマートでおにぎりとお茶を購入し、少し早い夕食。 この休憩中に、19時35分からの「いのち動的平衡館」(シグネチャーパビリオン)が当日登録で取れたので、 それまでの時間をつぶすため、すぐに入れそうな所を探し、「国連館」へ。

 国際連合の取り組みが真面目に紹介されている「国連館」は、万博のテーマであるSDG'sをストレートに訴えているようなパビリオンだが、 正直なところ社会科見学的で、お勉強感が強かった。たとえば ウーマンズパビリオンのように、具体的な誰かをフィーチャーして、 活動をわかりやすく可視化するなど、工夫が必要なのでは?と感じた。見せ方というのは重要だなと、つくづく思う。

 次に、シグネチャーゾーンの「いのち動的平衡館」へ。予約通り、19時35分頃入館。

 ここは、日本人の各界プロデューサーによるシグネチャーパビリオンの中でも、理解するための難易度が高いと思われるパビリオン。 生物学者の福岡伸一氏がプロデュースしたもので、 生命は絶え間なく自らを壊しながら作り直すことでバランス(平衡)を保っているという「動的平衡生命論」に立脚したもの。

 そもそもすべての物質は、エントロピー増大の法則(熱力学第2法則)に従い、秩序ある状態から無秩序の状態(カオス)へと不可逆的に進むものであって、 それに抗い、自立的に秩序を保っているのが、生命であるといえる。エントロピーの増大は、よく比喩的な説明として、 コーヒーにミルクを投入した状態に例えられる。それらは次第に混ざり合い、一度混ざると、自然に分離することはない。 つまり、行き着く先は「混沌」だというもの。生命のみは、生きている間は混沌には向かわず、バランスを保ちながら存在している。 そこに「動的平衡」(dynamic equilibrium)という考え方を導入したものだが、1個体内部で細胞が合成と分解によって常に更新されているのと同様に、 生物は生存するために他の生命を取り込む。取り込まれる側は、つまり犠牲になっているのだが、そこに「利他」を見いだしているのが、 動的平衡生命論の特徴でもある。


 福岡教授本人が映像に登場して説明した内容の中で特に印象的だったのは、車輪が坂道を登る現象の説明。 坂道の上の車輪は、そのままだと普通は下ってゆくが、その車輪が接地している坂道の上側が削れると、その瞬間、車輪は坂道を登る。 そうして、削られ続ける(分解)と同時に、反対側で新たな合成が行われると、坂道を登り続けることができる。これが生命であり、 削られる「分解」よりもわずかに少ない「合成」が同時に行われることで、生命を一定期間維持するが、相対的に分解のほうが多いので、 最終的に削るものがなくなって消滅に至るのが死であるというもの。 イメージ的には、よくわかる説明である。そして、生命は自律的に一定期間存在しながら、最後はなくなるというのも、 より大きなシステムの中での利他的な行動なのだと。

 だから死を恐れる必要はない、という宗教的な結論に行き着くわけで、思想的にはとても共感できるものの、 他の学者からの痛烈な批判もあることは、書きとどめておかなければならない。

 いのち動的平衡館を出て、いのちパークを北上、Better Co-being の角を右折して、エンパワーリングゾーンの「ペルー館」へ。 本当はその手前のヨルダン館を目指して行ったのだが、時刻は20時を回っていたため、もう受付は終了していた。 しかし、隣の「ペルー館」はまだ受付中だったため、そちらへ入った。

 ここもかなり人気のパビリオンで、日中は待ち時間が長いのだが、夜も閉館近くなると、わりとすぐに入ることができる。

 ペルーと言えば、有名なマチュピチュやナスカの地上絵など。それら美しい風景を空撮した動画が非常に印象的であった。

 ペルーを出ると、もう20時半。実は今日昼から妻が追いかけてきていて、それぞれ別に行動し、 すべて見終わった後に落ち合う予定になっていた。コンビニが閉まる前に合流し、ローソン(東ゲートマーケットプレイス)で、 アイスやフルーツなどを調達して、ノモの国の前あたりのベンチに座って休憩。 21時台はどうせ駅が混雑しているので、今日の成果などを話しながら、しばらく時間を潰す。

 同じ会場内にいたのに、なぜ別行動?と思われるかもしれないが、万博フリーク界隈では、 一人万博(ワン博という)が基本。

 理由は明快。どのパビリオンに入りたいか、どのくらい入りたいと思うのかは、人それぞれ。 友人同士であっても、夫婦であっても違う。そのパビリオンに並んででも入りたいか。何時間まで並ぶことを許容できるか。 自分は3時間並んででも入りたいと思っても、相手はそこまで待ちたくないかもしれない。 そこに齟齬が生じると、気持ち的にぶつかる。そんなに待つなら、先にお昼を食べたいと思うかもしれない。 いや、食事なんていつでもいいと、相手は思うかもしれない。 トイレに行きたいタイミングだって、違う。人に合わせることによって、貴重な機会を逃すこともある。 そんなことに気を使いたくないから、別行動をしたほうが、お互いにハッピーなのだ。 「そんなわがままな考えの人とは一緒に行きたくない」と言われるかもしれないが、 むしろ、これをわがままだと思うような人とは、一緒に行くことはできない。 だからこれまでも、「万博詳しいなら、案内してほしい」などと人から言われた際には、すべてお断りしてきた。

 そして我が家でも、花火や水上ショーや一部のパビリオンなど、価値観が共通するものを一緒に観る以外は、 別行動を基本とし、帰り際に合流するというスタイルに行き着いたのだ。

 この日、東ゲートを出たのは、21時半を過ぎていただろうか。夢洲駅改札を通過したのが、22時08分。 長い1日、そして、非常に実りの多かった1日を終え、帰路についた。

(2026年3月22日記す)

(2026年3月29日一部修正加筆)

(2026年3月31日一部加筆)

EXPO 2025 / OSAKA YUMESHIMA Apr.13-Oct.13,2025